歯周病治療

歯周病は、直すべき『病気』です

歯周病になると、歯ぐきの先端がはがれ、歯ぐきが腫れて血が出ます。歯ぐきの先端がはがれると、歯と歯ぐきの間にすき間ができますが、このすき間を「歯周ポケット」と呼びます。この「歯周ポケット」の深さが歯周病の進行ぐあいをしめします。

28本の歯に5mmの歯周ポケットができたとすると、その面積は手のひらと同じくらいで、出血の量は1日におちょこ1杯分程度の量になります。毎日継続して歯周病菌が混ざった血液を飲み続けると、歯周病を原因とするさまざまな疾患の原因となります。

歯周病の進行過程

正常な場合

歯周ポケットは1~2mm

歯肉炎

歯周ポケットは2~3mm

軽度歯周病

歯周ポケットは3~4mm

中度歯周病

歯周ポケットは5~6mm

重度歯周病

歯周ポケットは6mm以上

歯周病末期

自然に抜けてしまいます

歯周病治療

スケーリング・ルートプレーニング

歯周病の原因は、むし歯と同じく歯の表面に付着したバイオフィルムの中で繁殖する細菌です。バイオフィルムは唾液中の栄養と結びついて石のように固い物質になります。これが歯石です。歯石の表面の凹凸に細菌が付着しやすく、歯ブラシの先が届かない凹凸の中で繁殖した細菌が歯周病の原因になります。

そのため、バイオフィルムを破壊するだけではなく歯石の中の細菌も除去しなければ、歯周病の進行を止めることができません。

歯周病の原因となるバイオフィルムが増殖している場所は、歯と歯肉の間の歯周ポケットの中ですから、患者さんが歯ブラシしただけでは除去することはできません。

そのため歯周ポケットの中でバイオフィルムが歯石となって歯の根に付着するのです。

歯石となったバイオフィルムは強固に歯に付着しているため、スケーラーという専用の器具を使用して取り除くスケーリングをした後、歯の表面をツルツルに滑らかにしてバイオフィルムが付きにくくするルートプレーニングをおこなうことによって歯周病の進行のリスクを軽減することができます。

スケーリング

スケーリングとはスケーラー(あるいは超音波スケーラー)と呼ばれる金具を使って、歯肉縁上および歯肉縁下の歯面からプラーク(歯垢)、付着物、および歯石を除去することをいいます。

ルートプレーニング

ルートプレーニングとは、スケーリング終了後に、歯根表面の歯垢によって汚染・軟化したセメント質や象牙質を除去し歯根面を硬く滑沢な面に仕上げることをいいます。

ルート(歯根部)をプレーニング(平らに)することはとても重要であり、これがでこぼこのままだと歯根部のむし歯の原因になります。

危険信号は?

  • 毎日の歯磨きで出血する
  • 歯肉が赤く腫れている
  • 歯肉が何となくゆるんでいる感じがしたりする
  • 口臭が続いていて気になる
  • 何となくどこか、痛い・かゆい・不快だと感じる
  • 歯がぐらつく
  • 歯が伸びてきた
  • 歯の位置が移動してきた

こんな症状のあるかたは要注意です。

お口から健康へ

歯周病は全身に影響を及ぼします

歯周病は歯を失う大きな原因です。歯は食べ物がはじめて出会う「消化器」であるだけに歯周病で歯を失うと、からだ全体に大きな影響が及ぶ可能性があります。そして今、歯周病が全身のさまざまな病気に関わっていることが分かってきました。

歯周病は治療しても元には戻らない

歯ぐきの病気である歯周病は、歯肉が炎症を起こして腫れる歯肉炎と、歯肉の下の歯を支える組織まで破壊されている歯周病との二つに分かれます。歯を支える主な組織は、歯を取り囲む骨(歯槽骨)と、その骨と歯をハンモックのようにつなぐ線維組織から成り立っていますが、歯肉の炎症とちがって、この歯を支える組織は、いったん炎症を起こして破壊されると、元通りの形には戻りません。歯肉だけの炎症なら、その部分をいつもより時間をかけてていねいに、血がにじんでくる部分を注意して磨いていれば、一週間程度で血は出なくなり、歯肉の炎症も治まってきます。これで歯周病が治ったかどうかはわかりませんが、しかし初期の歯肉炎であれば、これで治ります。歯肉炎は治って元通りなりますが、歯周病は進行を止めることができるだけで、すっかり元通りに治ることはなく定期的な歯科医院でのメンテナンスが必要です。

歯周病対策で健康力アップ

歯の病気とからだの病気

脳…脳の活性化

噛む刺激で脳が活性化します。認知症や眠気防止になります。学習能力も高まります。(優しく噛むことで十分効果があります。)

肺…肺炎

肺炎の中に、誤嚥性肺炎があります。これは食べ物や唾液が食道にいかず、誤って肺に入ってしまうことで起こります。高齢者や寝たきりの方に多く見られます。歯周病菌があると発生しやすく、高齢者の死亡原因の1つといわれています。

心臓…心疾患

歯周病菌が血液の中に入り、動脈硬化を起こしている血管に付着することでより悪化させると言われています。

すい臓…糖尿病

歯周病が重度になるほど、糖尿病が悪化します。膵臓のインスリン活性を混乱させ、血糖値コントロールが難しくなり、糖尿病が悪化します。

骨…骨粗鬆症

歯周病は歯を支える骨が減る病気です。骨密度が減る骨粗鬆症は歯周病が進行しやすくなると考えられます。

おなか…肥満

ゆっくり良く噛むと満腹中枢が刺激されます。1口30回噛むと満足しやすいとされています。厚生労働省でもすすめております。

子宮…早産、低体重児出産

妊婦さんが歯周病ですと赤ちゃんが小さく生まれたり、早産になりやすくなります。妊娠中は悪阻でハブラシしづらく、ホルモンの変化のため歯周病になる方が多いです。